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2015.12.08更新

 先日法律相談を受けた話で,最近一戸建てからマンションに引っ越し,元の一戸建てが現在空き家になっているという方から,「知人から,最近法律が出来て家を空き家にしておくと取り壊されてしまうと聞いた。非常に心配だが大丈夫か」といったご相談がありました。

 

 この方が仰っていた最近の法律とは,平成27年5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」と思われます。最近は空き家の問題が新聞等でよく取り上げられ,同年10月26日には横須賀市で同法に基づき全国初の空き家の撤去が実施されたという報道も流れたことから,同じように漠然とした不安を感じておられる空き家所有者の方は意外と多いのかもしれません。

 

 この点,同法では,同法の対象となる空き家について「空家等」と,そのうちの特定の条件に該当する「特定空家等」とに分類しています。
 ここで「空家等」とは,「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」(同法2条1項)とされ,総務省・国土交通省の指針によれば,「居住その他の使用がなされていない」か否かは,建物への出入りの有無,電気ガス水道の使用状況,管理の状況等から客観的に判断するとされ,それが「常態である」か否かについては,年間を通して建物等の使用実績がないことが1つの基準となることが示されています。
 一方,「特定空家等」とは,「空家等」に該当するもののうち,特に以下の4つのいずれかの状態にあると認められるものを指すとされています(同法2条2項)。

 ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
 (例 建物の著しい傾斜,基礎・土台の破損,屋根・外壁の変形・剥落・腐食など)
 ・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
 (例 石綿等の飛散,ゴミの放置・不法投棄による臭気やねずみ・ハエ等の発生など)
 ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
 (例 地域の景観保全ルールに著しく不適合な状態など)
 ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
 (例 立木の枝等による通行の妨げ,空き家に動物が住み着いたことによる臭気・害虫の発生など)

 

 このうち,同法に基づく建物の撤去等の対象となるのは上記の「特定空家等」に該当するものだけであり,加えて,その手続は所有者に対する事前の指導,勧告,命令等を経た上で,それでも状況が是正されない場合に初めて実施されることになります(同法14条)。

 従って,突然,事前通知もなく建物が撤去されることはありませんし,そもそも,空き家であっても上記の「特定空家等」に該当しなければ,その対象とはなりません。

 

 そのため,冒頭の相談者様のケースを含め,現在空き家を所有している方につきましても,それがよほどの危険性や周辺環境への悪影響が懸念される状態のものでない限りは,同法に基づく自己所有建物の撤去を心配される必要はないといえます(なお,冒頭の相談者様の場合,引っ越しから間もなく,管理のために頻繁に元の家を訪れているとのことでしたので,そもそも同法の「空家等」にも該当しないと思われるケースでした。)。

弁護士 横山 太郎

2015.12.01更新

 「決闘」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。私は、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島での対決や、西部開拓時代のアメリカにおけるガンマンの対決を、まず思い浮かべます。いずれにしても、決闘という言葉から想定されるイメージは、古い時代に行われていた、特定のルールに基づく、1対1の私的な対決ではないでしょうか。

 

 決闘が、現代社会において法的に認められていないことは常識です。しかし明治時代には決闘是非論が巻き起こり、「文明の華」として肯定する主張や、「野蛮の遺風」として否定する主張など、様々な主張が展開されました。最終的には、明治22年(西暦1889年)、公衆の秩序維持を目的として「決闘罪ニ関スル件」という法律が可決され、決闘は禁止されました。そして、この法律は、現代でも効力を有しており、決闘を行った者は、同法律に基づき処罰されることになります。

 

 ここで、同法律上処罰の対象となる「決闘」とは、判例によれば、「当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもって争闘する行為」であるとされ、1対1で行われることは要件となっておりません。そのため、タイマンと呼ばれる1対1の対決のみならず、集団対集団の対決や、1対集団の対決についても、決闘罪は成立することになります。
 また、同法律は、決闘を挑み、または応じる行為についても処罰の対象としています(決闘挑応罪)。そのため、実際に決闘行為が行われなくても、決闘挑応罪が成立することがあります。

 

 このように、「決闘罪ニ関スル件」は、1対1の決闘行為にとどまらず、広く処罰対象を規定しておりますが、同法律が実際に適用されることはあまりなく、時折、暴走族等若者同士の抗争などに関して適用されるにとどまるようです。

弁護士 平岡 広輔

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