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2015.10.08更新

 2015年9月,クロザルが撮影した写真を写真集として出版した写真家と出版社に対し,動物愛護団体が,アメリカで,クロザルの著作権を侵害しているとして訴訟を提起したとのニュースがありました。

 

 記事によると写真家であるDavid氏がインドネシア・スラウェシ島で撮影をしていた際に,野生のクロザル(絶滅危惧種)がDavid氏のカメラを奪ってガチャガチャといじっている間に,自撮りするなどしたことから,絶滅危惧種である貴重なクロザルの写真が撮れたため,それらをDavid氏の写真集として出版したところ,動物愛護団体がクロザルの撮影した写真の著作権はクロザルにあるとして訴訟を提起したようです。

 

 この件について,アメリカの著作権局では,動物が創作した作品に著作権は認められない,動物が撮影した写真は著作物ではないという見解を示しているようです。

 

 日本でも,今のところ,著作物は,人によって創作されるものであるという理解を前提としておりますので,クロザルの撮影した写真は著作物ではないという結論になりそうです。

 

 しかしながら,著作物が人によって創作されるものに限定されるのかという問題や,あるいは,動物が自撮りした画像が著作物であるとした場合に,その著作権はカメラの所有者に帰属するのかなど,今回のクロザルの訴訟では,興味深い議論が展開されそうです。

 

 今後の訴訟の推移についても見守りたいと思います。

弁護士 藤井 直孝

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