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2015.10.30更新

 日産自動車、トヨタ自動車に続き、ホンダが、高速道路での追越しや先行車への追随などの機能を市販車に搭載する方針を決めたとの報道がなされました。海外においては、米ゼネラル・モーターズが、高速道路での自動運転機能を搭載した車両の発売を予定しており、米グーグルは、ハンドルやブレーキのない自動運転車を開発しているようです。
 このように、自動運転車の開発は世界的な潮流であり、そう遠くない将来、自動運転車が公道を実際に走行するものと思われます。

 

 しかしながら、自動運転車に対応した法令は、現在のところ整備されておりません。

 

 例えば、自動車の運転方法については道路交通法が規定しておりますが、人間が運転することが前提とされており、機械が自動運転することは想定されていません。そのため、機械による完全な自動運転を許容するのであれば、道交法を改正する必要があります。

 また、自動運転車には、事故の減少という効果が期待されておりますが、事故が完全に無くなることはないでしょう。自動運転車による事故が発生した場合、賠償責任を負うのが、自動運転車に情報を入力した人間なのか、自動車メーカーなのか、あるいはその双方なのかという点も、法令上明らかではありません。

 

 このように、法令が未整備であることに鑑み、警察庁は、平成27年10月15日、庁内に有識者を交えた検討委員会を設置すると発表しました。委員会には、刑法や行政法、工学などの専門家が参加し、法令上の課題や事故時の責任問題などが検討されるようです。

 

 自動運転車に関する法令の整備に関しては、引続き、その動向を注視したいと思います。

弁護士 平岡 広輔

2015.10.08更新

 2015年9月,クロザルが撮影した写真を写真集として出版した写真家と出版社に対し,動物愛護団体が,アメリカで,クロザルの著作権を侵害しているとして訴訟を提起したとのニュースがありました。

 

 記事によると写真家であるDavid氏がインドネシア・スラウェシ島で撮影をしていた際に,野生のクロザル(絶滅危惧種)がDavid氏のカメラを奪ってガチャガチャといじっている間に,自撮りするなどしたことから,絶滅危惧種である貴重なクロザルの写真が撮れたため,それらをDavid氏の写真集として出版したところ,動物愛護団体がクロザルの撮影した写真の著作権はクロザルにあるとして訴訟を提起したようです。

 

 この件について,アメリカの著作権局では,動物が創作した作品に著作権は認められない,動物が撮影した写真は著作物ではないという見解を示しているようです。

 

 日本でも,今のところ,著作物は,人によって創作されるものであるという理解を前提としておりますので,クロザルの撮影した写真は著作物ではないという結論になりそうです。

 

 しかしながら,著作物が人によって創作されるものに限定されるのかという問題や,あるいは,動物が自撮りした画像が著作物であるとした場合に,その著作権はカメラの所有者に帰属するのかなど,今回のクロザルの訴訟では,興味深い議論が展開されそうです。

 

 今後の訴訟の推移についても見守りたいと思います。

弁護士 藤井 直孝

2015.10.02更新

 前回の私の投稿(平成27年9月9日の記事)ではマイナンバーについて書きましたが,最近見たニュースに関連して個人情報関連の記事をもう一つ。

 

 先日,ニュースを見ていたら,最近,亡くなられた方の遺族からの依頼で,死者が生前使用していた携帯電話やパソコンのデータを復旧させ,その中身を遺族らに引き渡すサービスが人気を呼んでいるという特集をやっていました。

 

 率直な感想としては,思い出をよみがえらせ,死者とのつながりを保ちたいというご遺族の気持ちはわかるものの,正直,自分が当事者となった場合を想像すると,(やましいことはないものの)自分の携帯やパソコン内のデータを自分のいないところで勝手に見られるというのには抵抗がありますが,全く気にならないという意見の方も多いようで,人によって意見が分かれるところのようです。

 

 ところで,こうした死者の情報を遺族が見る行為については,既に保護対象となる権利者本人が存在しないため,法律的にはこの行為が死者本人のプライバシーの侵害となることはありません。

 

 また,これと関連して死者の個人情報に関する法律上の扱いについてご説明すると,個人情報保護法においても保護の対象は「生存する個人」に関する情報とされているため,死者の個人情報は,同法によって保護される個人情報にはあたらないこととなります(その結果,遺族が死者のカルテの開示を病院に求めるようなケースでは,遺族であれば任意の開示に応じる病院がある一方,病院によっては死者の個人情報は同法で開示が義務づけられている個人情報にあたらないとの判断で,任意のカルテ開示には応じないところもあり,取扱が統一されていないようです。) 。

 

 では,こうした死者の個人情報・プライバシーについては法律上何ら保護されていないかというと,虚偽の事実を示して行われた場合に限られますが,死者に対しても名誉棄損罪は成立するため(刑法230条2項) ,ご遺族の告訴によって名誉棄損罪が成立する余地はあります。

 

 また,死者に関する情報の漏えい等によって遺族に損害を与えたといえる場合であれば,それは遺族に対する不法行為となるため,遺族が損害賠償を請求することは可能と考えられます。

 

 現代は,インターネットの普及等によって,故人に関する情報も拡散しやすく,ご遺族が不当な被害を受ける危険性も格段に高まっているのではないかと思います。
 そのような場合にも,早めに一度専門家にご相談頂ければと思います。

弁護士 横山 太郎

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